古代空引機による正倉院錦の復元製作
高田装束研究所では、平成2年より8年まで日本芸術文化振興会の助成を受け、空引機(そらひきばた)による古代織物の復元を試みました。「年中行事絵巻」などに登場する空引機を忠実に復元製作し、正倉院錦の復元に従事して参りました。その後も自主的に継続して正倉院、東京国立博物館等の原品ほかを調査し、古代の技術を復活しつつ再現しております。 我々の空引機では綺、経錦、緯錦を復元いたしております。 (古代から近世になってジャカード機が使用されるようになるまで、空引機で織られていました) 錦とは・・ 古代には織り方に関係なく、経糸(たていと)ないし緯糸(よこいと)に二色以上の色糸を使って文様を出した華やかな織物を錦と呼びました。奈良時代に引き続いて経錦(たてにしき)、緯錦(よこにしき)、唐錦(こんにち糸錦と呼んでいます)が作られましたが、文化の和様化とともに経錦は平安時代前期にほぼ姿を消し、緯錦はその織法に奈良時代のものと若干の変化をみせ、風合いも温和になっています。 先代 二十三代 高田義男も 昭和5年から約10年間、東京帝室博物館の委嘱により調査を命じられ、その後これに基づき復元模造し、以下にあげているそれら現品は現在、東京国立博物館、奈良国立博物館に収蔵されています。