博物館委嘱による展示歴史的服装、調度の復元製作
髙田装束研究所は数百年続けられている宮中御装束製作の技術と経験、たゆまぬ服装史、染織史の研究、そして宮中内蔵寮御用装束調進資料を基に、国立歴史民俗博物館第二展示室の王朝装束、調度そのほかの復元製作や千葉県立総南博物館国宝赤糸威大鎧復元製作および愛媛県歴史文化博物館鎌倉時代武士服ほか復元製作、監修など数々の復元に従事してまいりました。
熊野速玉大社御神宝装束 衵 (あこめ)
「袿」(うちき)
(これは袿(表着)とすべきと、当研究所は考えます)
復元 原品は国宝 室町時代
表 萌葱小葵地浮線綾(臥蝶丸)文二陪織物
昭和初期、東京帝室博物館(現 東京国立博物館)の委嘱により、国宝、重要文化財に指定された装束、小袖類の復元製作が行われました。上記装束も復元され、現在東京帝室博物館に保管されております。
和歌山県新宮市熊野速玉大社には室町時代の御神宝として数多くの装束が伝えられていて、服装史、染織史上も貴重な資料といえます。
同社神宝目録(明徳五年)に衵とあるものの一領がこれに当ると思われますが、実体は袿です。それはこの衣の身丈が180.3cmで、童女の用いる身丈の短い衣(衵)と比較して長いためです。
またこの袿の表地が二陪織物であることから、おそらく女房装束の表着とみなしてよいでしょう。
地文の小葵は古様で、国宝「源氏物語絵巻」に描かれた小葵文と近似していることも注目されます。
この袿の表地文様名である浮線綾とはもともと浮織物の総称ですが、いつの時代からか臥蝶丸文を浮線綾丸文と呼ぶようになりました。
袿とは・・
垂領、広袖形式で身幅が広いもの。男子が用いる袿には身丈が長いものと短いものの区別があります。女子の袿は身丈が裾を引くほどの長さです。袿は、もともと袿衣と呼ばれ、夜着として使われたたものでしたが、衣服の寛闊化とともに、衣が袿衣と同形となり、袿といわれるようになったと思われます。
二陪織物とは・・
二重織物とも書き、平安時代に発達しました。浮織物による地文様に、いわゆる縫取織による別の文様を加えて立体的で優雅な趣きを表わし、二種の違った織り方を用いていることからこのように呼ばれました。二陪織物は桃山時代の多彩で華やかな唐織の原型であり、また江戸時代以降の能装束に重要な位置を占める金襴による地文様と縫取織による絵画的文様の唐織の前駆的存在であります。
この袿の表地の浮線綾とはもともと浮織物の総称ですが、いつの時代からか臥蝶丸文を浮線綾丸文と呼ぶようになりました。
過去に復原製作した主なもの
○ 東京帝室博物館委嘱により正倉院御物染織品調査及び復原模造
○ 〃 鶴ヶ岡八幡宮御神宝装束復原模造
○ 〃 熊野速玉大社御神宝装束復原模造
○ 〃 熱田神宮御神宝装束復原模造
○ 〃 高野山天野社延年の舞装束復原模造
○ 〃 伝大塔宮護良親王所用鎧直垂復原模造
○ 〃 毛利家伝来鎧直垂復原模造
○ 〃 武蔵御嶽神社伝来赤糸縅大鎧復原模造
○ 〃 宇良神社伝来縫箔肩裾小袖復原模造
○ 〃 高台寺伝来豊臣秀吉所用陣羽織復原模造
○ 〃 東寺舎利会装束復原模造
○ 〃 手向山八幡宮伝来新靺鞨袍復原模造
○ シルク博物館展示 古代、中世、近世初期各時代衣裳復原製作
古墳時代 貴族の男子姿(衣・褌)
古墳時代 貴族の女子立姿(衣・裳)
古墳時代 貴族の女子坐姿(衣・裳)
奈良時代 貴族の男子朝服姿(縫腋袍)
奈良時代 貴族の男子朝服姿(欠腋袍)
奈良時代 貴族の女子朝服姿(唐衣)
奈良時代 貴族の女子朝服姿
平安時代 公家の正装男子束帯姿
平安時代 公家の正装女子女房装束姿
平安時代 公家の男子直衣姿
平安時代 公家の女子小袿姿
鎌倉時代 武家の狩衣下腹巻姿
鎌倉時代 武家の童男旅姿(水干)
鎌倉時代 武家の女子外出姿(壷装束袿姿 垂絹)
鎌倉時代 武家の女子旅姿(壷装束、桂市女笠)
桃山時代 上流武家の男子道服姿
桃山時代 武将陣羽織姿
桃山時代 上流武家の女子打掛姿
桃山時代 上流武家の女子腰巻姿
舞楽「蘭陵王」姿
○ 神奈川県立歴史博物館 展示 御嶽神社伝来赤糸縅大鎧復原模造
○ 〃 鶴ヶ岡八幡宮御神宝装束復原模造
○ 國學院大學・國學院高校日本文化史資料館展示資料 鶴ヶ岡八幡宮御神宝装束復原模造
○ 〃 熊野速玉大社御神宝装束復原模造
○ 〃 有栖川宮家伝来装束復原模造
○ 大阪城天守閣の依頼により伝秀吉公所用紙子胴服復原模造
○ 高松塚古墳壁画人物の服装復元
○ 文化庁(国立歴史民俗博物館 第2展示室王朝貴族の服装・調度)
○ 展示 古代、中世、近世の衣装調度復原製作
○ 宮内庁正倉院事務所より委嘱 宝物「玉帯筥内」調査復原
○ 宮内庁正倉院事務所より委嘱 宝物「白橡几褥」調査復原
○ 千葉県立中央博物館 大多喜城分館(旧千葉県総南博物館)国宝赤糸威大鎧復原製作
○ 国立歴史民俗博物館展示 奈良時代「帯」等復原製作
○ 宮内庁正倉院事務所より委嘱 宝物「緑地﨟纈袈裟箱袋」調査復原
○ 愛媛県歴史文化博物館 鎌倉時代武士服ほか復原製作、監修
○ 千葉県立房総のむら 「藍染麻布 裃」 復原製作
○ 安城市歴史博物館 企画展「古代集落遺跡を掘る」展示協力のため「浄衣、袴」復原製作(当研究所所用)
○ 東京家政学院生活文化博物館 童形装束「梅襲ね 細長」ほか復原製作
○ 国立能楽堂 企画新作能「額田王」能装束唐織、狩衣製作
○ 国立歴史民俗博物館 中世農民男子、女子衣服 商人衣服 復原製作
○ 国立歴史民俗博物館 「江戸モード大図鑑―小袖文様にみる美の系譜―」展における試着用 桃山時代小袖、江戸時代小袖復原製作
○ 国立能楽堂 「唐団扇」製作
○ 愛媛県・道後公園(湯築城跡)武家屋敷 中世武家ほか服装復原製作
国立歴史民俗博物館 第2展示室 王朝文化 貴族の服装 束帯、直衣、女房装束
国立歴史民俗博物館 第2展示室 王朝文化 調度
江戸時代末期 (深曽木)着袴の儀
童形服 半尻姿 復元 |
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お断り
上記箇所のみ、復原という字を当てさせていただきます。
この映像はデジタルカメラで撮影のため、絹織物の光沢、色彩など実際のものとは多少相違がございます。ご了承下さいますようお願いいたします。