髙田装束研究所の業績
創業 室町時代 貞和二年(1346) 京都御所・蛤御門前
数百年続けられている宮中内蔵寮御用装束調進方髙田家の家業を受け継ぎ、天皇、皇后両陛下をはじめとする皇族方々の宮中装束の製作に携わっております。
正倉院事務所、国立博物館等の委嘱により歴史的染織品の調査復元を行っております。
服装史、染織史研究のため髙田装束研究所を主宰しております。
髙田装束研究所は髙田装束株式会社の附属研究機関として発足いたしました。
昭和三年 文羅 復元製作風景
髙田義男 調査、製作監督(画像左)
(昭和四年、伊勢神宮御神宝装束調進につき、本来、文羅をもって製作すべきものを再興し製作)
(文羅の研究および、復元は髙田義男個人が行ったもので、年代についても、大正十五年に東京の髙田家・織工場にて文羅製織に成功し、髙田義男の監督、指揮指導の下で、昭和二年より髙田家・京都織工場の製織技術主任喜多川平朗氏と共に正倉院宝物羅、錦、綾など調査、復元をはじめている)
髙田義男の功績により、室町時代後期以来断えていた文羅(文様を織り表わした羅)製織技術の復活を志し、大正十五年、東京の織工場にて復元に成功しました。昭和二年より、経錦、緯錦、綾、あしぎぬなどの織物、夾纈、﨟纈、目交(纐纈)など技術の復活を行い、その後、東京帝室博物館大島義脩館長より正倉院染織品の調査と復元製作の委嘱を受けることとなりました。この仕事にさきだち、同じく断えていた黄櫨染、茜染、紅花染そのほか植物染料による染色技法の復活に努力し、『和染鑑』をまとめています。
昭和三年、御即位式に際して、髙田の提案により宮内省に認められ、天皇陛下の黄櫨染御袍地の染色、御衵、御単、御表袴、御大口そのほかのために紅花染の復活採用がなされました。
昭和四年、伊勢神宮御神宝装束調進につき、ほんらい文羅をもって製作すべきもの、夾纈によって製作すべきもの、あるいは植物染料による染色などを再興し製作しました。(昭和四年の御遷宮御神宝装束が近年のうちで、最も美しく、すばらしいものとお褒めのお言葉を髙田義男 個人に神宮司庁や徴古館、各界から頂戴いたしております)
続いて帝室博物館の委嘱により鶴ヶ岡八幡宮御神宝装束、熊野速玉大社御神宝装束、熱田神宮御神宝装束、高野山天野社延年の舞装束、伝大塔宮護良親王所用鎧直垂、毛利家伝来鎧直垂、武蔵御嶽神社伝来赤糸縅大鎧、宇良神社伝来縫箔肩裾小袖、高台寺伝来綴陣羽織、東寺舎利会装束、手向山八幡宮伝来新靺鞨袍等々枚挙にいとまがないほどの国宝、重要文化財に指定された装束、小袖類の復元製作が行われました。
また、実物遺品や復元された衣服、太刀、持物などを用いて古代の姿を再現する機会をいく度となくもうけて、同好の人々を集め研究に余念がないほどでした。
大正時代以降の髙田装束、研究所及び研究所長の主な業績
大正 4年 ○ 大正度御即位式 高御座製作、天皇・皇后両陛下、皇族殿下、同妃殿下御儀服等調進 (御束帯黄櫨染御袍ほか)
(髙田家が文様図案考案、色彩の設計を行い、髙田家・東京織工場にて全ての製織を行う。各種資料が残存。)
大正 5年 ○ 京都・廣隆寺上宮王院聖徳太子御像御更衣の為、御束帯黄櫨染御袍御装束調進
昭和 3年 ○ 髙田義男 昭和度御即位式 天皇・皇后両陛下、皇族殿下、同妃殿下御儀服等調進(御束帯黄櫨染御袍ほか)(文様・配色考案、命名)(髙田家が文様図案考案、色彩の設計を行い、髙田家・東京織工場にて全ての製織を行う。各種資料が残存。)
昭和 4年 ○ 伊勢神宮式年遷宮御神宝装束(衣服、調度)調進
○ 京都・廣隆寺上宮王院聖徳太子御像御更衣の為、御束帯黄櫨染御袍御装束調進
昭和 5年 ○ 東京帝室博物館委嘱により正倉院御物染織品調査及び復元模造
より ○ 〃 鶴ヶ岡八幡宮御神宝装束復元模造
昭和15年 ○ 〃 熊野速玉大社御神宝装束復元模造
まで ○ 〃 高野山天野社延年の舞装束復元模造
○ 〃 伝大塔宮護良親王所用鎧直垂復元模造
○ 〃 毛利家伝来鎧直垂復元模造
○ 〃 武蔵御嶽神社伝来赤糸縅大鎧復元模造
○ 〃 宇良神社伝来縫箔肩裾小袖復元模造
○ 〃 高台寺伝来豊臣秀吉所用陣羽織復元模造
○ 〃 東寺舎利会装束復元模造
○ 〃 手向山八幡宮伝来新靺鞨袍復元模造
昭和26年 ○ 青森県 櫛引八幡宮 御宝物赤威鎧兜大袖付ほか三領(重文)の修補
昭和33年 ○ シルク博物館展示 古代、中世、近世初期各時代衣裳復元製作
昭和38年 ○ 神奈川県立歴史博物館展示 御嶽神社伝来赤糸縅大鎧復元模造
○ 〃 鶴ヶ岡八幡宮御神宝装束復元模造
昭和39年 ○ 國學院大学・國學院高校日本文化史資料館展示資料 鶴ヶ岡八幡宮御神宝装束復元模造
○ 〃 熊野速玉大社御神宝装束復元模造
○ 〃 有栖川宮家伝来装束復元模造
昭和43年 ○ 大阪城天守閣の依頼により伝秀吉公所用紙子胴服復元模造
昭和45年 ○ 平泉毛越寺延年の舞保存会委員
昭和46年 ○ 文化庁文化財調査委員
昭和47年 ○ 高松塚古墳壁画人物の服装復元
○ 髙田義男 紫綬褒章受章 保章の記「多年わが国固有の有職装束の調査復元等に努め、技法の研究保存に尽力して、よく無形文化財に寄与し事まことに著明である。よって褒章条例により紫綬褒章を賜って表彰せられた。」
昭和48年 ○ 文化庁(国立歴史民俗博物館第二展示室 王朝貴族の服装・調度ほか) 展示 古代、中世、近世の衣装調度復元製作
昭和49年 ○ 文化庁文化財技術記録映画企画委員
○ インド染織服飾研究の旅ツアーリーダーとして渡印 以後毎年渡印
昭和50年 ○ 熱田神宮宝物館 特別展覧会「日本の服飾」において展示協力、執筆解説、指導
○ ニューヨークにおける「皇室展」展示監修指導 渡米
○ ハワイ大学特別講義
○ 元興寺仏教民俗資料研究所嘱託調査員として高野山霊宝館大宝蔵 天野社一切経会舞楽装束調査、報告書作成
昭和53年 ○ 文化庁委嘱により伊勢神宮「神宝装束・調度製作技術調査報告書」作成
昭和55年 ○ 徳仁親王殿下御成年式賜冠の儀・加冠の儀御儀服調進(童形束帯浅黄闕腋袍・束帯黒縫腋袍)(髙田織工場にて製織)
昭和57年 ○ 髙田義男 宮内庁正倉院事務所より委嘱 宝物「玉帯筥内 (うちばり)」調査復元
○ デンマーク国立博物館主催「日本文化展」展示指導
○ コペンハーゲン大学特別講義
昭和60年 ○ 文仁親王殿下御成年式賜冠の儀・加冠の儀御儀服調進(童形束帯浅黄闕腋袍・束帯黒縫腋袍)(髙田織工場にて製織)
○ 文化庁文化財の保存技術に関する懇談会委員
昭和61年 ○ 髙田倭男 宮内庁正倉院事務所より委嘱 宝物「白橡綾几褥」調査復元
昭和62年 ○ 千葉県立中央博物館 大多喜城分館(旧千葉県立総南博物館) 国宝赤糸威大鎧復元製作
○ 国立歴史民俗博物館 展示 奈良時代「帯」等復元製作
○ 髙田倭男 宮内庁正倉院事務所より委嘱 宝物「緑地﨟纈袈裟箱袋」調査 復元(宝物の模造ページ)
昭和63年 ○ 財団法人日本民族工芸技術保存協会理事
○ 国立歴史民俗博物館 野村正治郎コレクション小袖修補、以後5年間継続
平成 2年 ○ 礼宮文仁親王(秋篠宮)殿下・川嶋紀子様 御結婚式御儀服調進(束帯黒袍、五衣唐衣裳ほか)(文様・配色考案、命名)
○ 髙田倭男 平成度御即位式 天皇・皇后両陛下、皇族方 御儀服等調進 (御束帯黄櫨染御袍ほか)(文様・配色考案、命名)
平成 3年 ○ 髙田倭男 平成度立太子礼御儀服調進(文様・配色考案、命名)
○ 日本芸術文化振興基金助成事業 空引機による古代織物技法の復元製作開始
○ 江戸東京博物館 小袖修補、以後3年継続
平成 4年 ○ 江戸東京博物館 資料収集委員委嘱
平成 5年 ○ 皇太子殿下・小和田雅子様 御結婚式御儀服調進 (束帯黄丹袍、五衣唐衣裳ほか)(文様・配色考案、命名)
○ 国立民族学博物館 共同研究会研究員委嘱
平成 6年 ○ 愛媛県歴史文化博物館 鎌倉時代武士服ほか復元監修、製作
○ 京都・廣隆寺上宮王院聖徳太子御像御更衣の為、御束帯黄櫨染御袍御装束調進
平成 7年 ○ 千葉県立房総のむら 「藍染麻布 裃」 復元製作
○ 福岡市博物館 『装い 日本女性の美 旧吉川観方コレクション』小袖展において当研究所所用「今用御ひいなかた」展示貸し出し、図録解説協力、指導
○ 京都・廣隆寺上宮王院聖徳太子御像着装の歴代下賜御束帯黄櫨染御袍御装束の調査、報告書作成
平成 8年 ○ 神社本庁教學研究所主催 装束研修会 特別講義
○ 福岡市博物館 旧吉川観方コレクション小袖修補
○ 奈良県万葉文化館(万葉ミュージアム) 万葉歌をモチーフにした新作日本画収蔵展示のため当研究所所用『高松塚古墳壁画(飛鳥時代末期)男女貴族の服装』『奈良時代 男女朝服』ほか資料提供、着装解説講演、指導
平成 9年 ○ 主催神戸市、特別協力宮内庁、神戸ファッション美術館 開館特別展示における「秋篠宮殿下、 同妃殿下御婚礼装束」展示監修、指導
○ 大阪城天守閣 伝豊臣秀吉所用陣羽織、軍旗、能装束ほか修補
○ 東京都庭園美術館「朝香宮両殿下着用宮廷装束」展示監修、指導
平成10年 ○ 「神社本廳教學研究所紀要」有職織物について調査、論考発表
○ 大阪市立美術館 展覧会「和の意匠」において当研究所所用「今用御ひいなかた」展示貸し出し、協力
平成11年 ○ 協力・宮内庁 「天皇陛下御即位十年記念特別展」における展示監修
○ 毛利博物館「毛利輝元関係資料法被」修補
○ 神社本庁御神宝裂修補
○ 京都国立博物館 特別展覧会「花洛モード -きものの時代-」において当研究所所用「今用御ひいなかた」展示貸し出し、協力
○ 国立歴史民俗博物館 「江戸モード大図鑑―小袖文様にみる美の系譜―」展における試着用 桃山時代小袖、江戸時代小袖復元製作
平成12年 ○ 国立能楽堂 新春公開講座において、『源氏物語の装束「かさねの色」』と題した女房装束着装解説講演
○ 仙台電力ホールにおいて、『源氏物語への誘い』と題した女房装束着装解説講演
○ 平泉 毛越寺 重要無形民俗文化財 延年の舞「若女」 縫箔小袖 製作
平成13年 ○ 毎日放送・東京放送系列 皇室アルバム新春特別番組『愛とファッションで世界を魅惑 ~皇室の女性たち~ 』 平成度御即位の礼 皇后陛下御装束、皇太子妃殿下御結婚の儀装束ほか製作に際しての心がまえ、および御装束の「かさねの色」について 協力、資料提供
○ 主催 奈良県立美術館 館蔵品展「宮廷服飾 ~みやびの生活美~」における『大正度御即位式皇族妃殿下御着用装束 五衣・唐衣・裳』ほか特別展示協力、指導、資料提供
○ 平泉 毛越寺 重要無形民俗文化財 延年の舞「老女」小袖 製作
○ 奈良県新公会堂能楽ホールにおいて、当研究所が復元いたしました、飛鳥時代高松塚古墳壁画の服装や、奈良時代朝服を着装し、当所長が上代の服装について学術的に講演いたしました。(主催 奈良県・(財)なら・シルクロード博記念国際交流財団/
シルクロード学研究センター ・日本経済新聞社)
○ 国立歴史民俗博物館第2展示室 女房装束(冬の料)の着装風景、小袿姿(夏の料)等の館内放送における映像ビデオ製作のため、解説、監修協力
平成14年 ○ 国立能楽堂 特別企画講演において、『源氏物語の装束』と題した女房装束姿、袿姿、壷装束姿の着装解説講演
○ 四日市市文化会館において、国立能楽堂企画・新作能「額田王」の装束(能装束唐織、狩衣)の製作についての講演
平成17年 ○ 東京国立博物館 高校生講座 桃山、江戸小袖(復元)提供、協力
○ 埼玉県立博物館 企画展示「年中行事絵巻」平安時代後期女房装束、調度(復元)ほか展示協力・指導
○ 東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 美術博物館において「王朝貴族の装束展 ― 衣服を通してみる文化の国風化 ― 」展示協力・指導、史料・装束貸出、および展示会場の装束、当方史料の解説担当
○ 東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 「平安時代後期公家装束(復元)着装・解説・講演」
○ 東京国立博物館 特別展 模写・模造と日本美術-うつす・まなぶ・つたえる- において
髙田義男製作監督 昭和12年復元 武蔵御嶽神社蔵 「赤糸威鎧」模造 展示 (復元は東京国立博物館蔵)
髙田倭男製作監督 昭和61年復元 正倉院蔵 宝物「白橡綾几褥」模造 展示 (復元は宮内庁正倉院事務所蔵)
○ 奈良国立博物館 特別陳列「模造にみる正倉院宝物」
髙田義男製作監督 昭和復元 伎楽人形 呉女(模造) 奈良国立博物館蔵
平成18年 ○ NHK新日曜美術館「科学の目が見た国宝 伴大納言絵巻」 当研究所織物資料を使用し、絵巻に描かれている衣服(織物、文様、色)について解説、協力
○ 敬宮愛子内親王殿下着袴の儀御儀服(童形服・袿袴・巾着ほか)調進(文様・配色考案、命名)
平成19年 ○ 神社本庁研修所主催 神職研修において、「有職織物の継承と装束」と題した解説講演
○ 京都市産業技術研究所繊維技術センター(現 京都市産業技術研究所)主催 「有職織物の歴史と継承」と題した講演
平成20年 ○ 朝霞市博物館 第23回企画展「平安王朝~源氏物語の時代~」展示協力・指導 「源氏物語の装束-女房装束着装・解説-」講演
平成23年 ○ 秋篠宮悠仁親王殿下着袴の儀御儀服調進(文様・配色考案、命名)
令和 元年 ○ 髙田明男 令和度御即位式 天皇・皇后両陛下、皇族方 御儀服等調進 (御束帯黄櫨染御袍、束帯黄丹袍、御五衣御唐衣御裳、五衣唐衣裳ほか)(文様・配色考案、命名)
令和 2年 ○ 髙田明男 令和度立皇嗣礼御儀服調進(御小袿御長袴 小袿長袴ほか)(文様・配色考案、命名)
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