明治、大正、昭和の髙田家 業績
国宝ほか歴史的衣服、調度類の実測調査、調査報告書作成、復元について
岩手県 平泉中尊寺蔵
燈台および什物の実測調査
茨城県 光了寺蔵
静御前舞衣の調査
東京国立博物館蔵
伝大塔宮護良親王所用鎧直垂実測調査
後に、これに基づき復元模造し、東京国立博物館に納品
神奈川県 鶴ケ岡八幡宮蔵
国宝 女衣 調査
後に、これに基づき復元模造をし、東京帝室博物館に納品
神奈川県 箱根神社蔵
伝北条政子奉納女衣裂ほか調査
静岡県 丸子 斎藤家
伝秀吉公所用紙子胴服実測調査
後に、これに基づき復元模造し、大阪城天守閣に納品
静岡県 三保神社蔵
天女の羽衣と称する文羅裂を調査
静岡県 浅間神社蔵
御神服を実測調査
静岡県 三嶋神社蔵
御神服を実測調査
愛知県 熱田神宮蔵
国宝 御神宝装束および附属品調査ならびに復元模造をなし、東京帝室博物館に納品
三重県 微古館蔵
主として毛抜形太刀(伝俵藤太所用)の実測調査
京都府 豊国神社蔵
伝豊臣秀吉公着用胴服の実測調査
京都府 高台寺蔵
伝豊臣秀吉公所用綴陣羽織(国宝)、什物の実測調査
後に、これに基づき陣羽織を復元模造し、東京国立博物館に納品
京都府 浦嶋神社蔵
縫箔肩裾小袖調査ならびに復元模造し、東京帝室博物館に納品
奈良県 手向山神社蔵
鳳輦、葱華輦の実測調査
和歌山県 熊野速玉大社蔵
国宝 御神宝装束および附属品実測調査ならびに復元模造をなし、東京帝室博物館に納品
大阪府 四天王寺蔵
舞楽装束を実測調査
後に、これに基づき復元模造し、東京帝室博物館に納品
河内挙田八幡宮蔵(伝源頼朝寄進)
国宝 塵地螺鈿金胴装鳳輦
精密な実測図と調査資料を作成し、神祇院に寄贈
兵庫県 清水寺蔵
竹作太刀(伝坂上田村麿所用)調査
広島県 厳島神社蔵
伝安徳天皇半臂を実測調査。
後に、これに基づき復元模造し、下関赤間神宮、國學院大学に納品
奈良県 正倉院
昭和5年より約10年間、髙田義男は東京帝室博物館の委嘱により調査を命じられ、その後これに基づき復元模造をし、以下のようなそれら現品は現在、東京国立博物館、奈良国立博物館、髙田装束研究所に収蔵されています。
織成樹皮色錦
蜀江錦
獅噛文長斑錦
鳥形円文黄綾
立菱唐草文深緑綾
立菱円文黄綾
唐花文縹綾
山形浅緑綾
緋綾
緋地花文錦
紫羅(入子菱文)
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深緑羅(山道に菱文)
蘇芳羅(三重襷文)
円文双龍緋綾
円文双龍紫綾
紅地円文双鳳錦
紅地花鳥文錦
紫地花鳥文錦
花卉文繧錦
紫地鳳形錦
紅地鳥獣花卉文錦
花卉文横斑錦
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数々の復元製作
髙田義男は、室町時代後期以来断えていた文羅(文様を織り表わした羅)製織技術の復活を志し、大正15年、東京の織工場にて復元に成功しました。昭和2年より、経錦、緯錦、綾、あしぎぬなどの織物、夾纈、﨟纈、目交(纐纈)など技術の復活を行い、その後、東京帝室博物館大島義脩館長より正倉院染織品の調査と復元製作の委嘱を受けることとなりました。この仕事にさきだち、同じく断えていた黄櫨染、茜染、紅花染そのほか植物染料による染色技法の復活に努力し、『和染鑑』をまとめています。
昭和3年、御即位式に際して、黄櫨染御袍地の染色、御衵、御単、御表袴、御大口そのほかのために紅花染の復活採用がなされました。
昭和4年、伊勢神宮御神宝装束調進につき、ほんらい文羅をもって製作すべきもの、夾纈によって製作すべきもの、あるいは植物染料による染色などを再興し製作しました。(昭和4年の御遷宮御神宝装束が近年のうちで、最も美しく、すばらしいものと、お褒めのお言葉を神宮司庁や徴古館、各界から頂戴いたしております)
続いて帝室博物館の委嘱により鶴ヶ岡八幡宮御神宝装束、熊野速玉大社御神宝装束、熱田神宮御神宝装束、高野山天野社延年の舞装束、伝大塔宮護良親王所用鎧直垂、毛利家伝来鎧直垂、武蔵御嶽神社伝来赤糸縅大鎧、宇良神社伝来縫箔肩裾小袖、高台寺伝来綴陣羽織、東寺舎利会装束、手向山八幡宮伝来新靺鞨袍等々枚挙にいとまがないほどの国宝、重要文化財に指定された装束、小袖類の復元製作が行われました。
また、実物遺品や復元された衣服、太刀、持物などを用いて古代の姿を再現する機会をいく度となくもうけて、同好の人々を集め研究に余念がないほどでした。