明治、大正、昭和の髙田家 業績
昭和3年 昭和度御即位式御装束御儀服等調進
髙田義男は、大正天皇御大葬後、昭和度御即位式御大典の準備に係ることになりました。
御即位式御装束調進に際して織物の調査研究と並行して古代の植物染料による染法を研究しており、その成果を織物復元に応用しました。同時に黄櫨染、紅花染そのほかの染色復活が宮内省に認められ、御装束調進に採用されました。(天皇陛下の御束帯黄櫨染御袍地の黄櫨染や、御衵、御単、御表袴、御大口等のための紅花染の復活採用)黄櫨染は櫨(はぜ)の樹皮を乾燥して煎じ、これに蘇芳(すおう)を加えて、石灰を媒染剤にして染める染色法です。嵯峨天皇の弘仁11年(820)に天皇の御袍の色として黄櫨染が定められ、使用されるようになった由緒ある色でありますが、その染色法は室町時代に途絶えてしまいました。中国の帝王が用いる赭黄(しゃおう)色に従うものとされ、太陽の色を象徴するといわれております。「延喜式」にもその染色法が記されておりますが、染める技術が誰にもわからないため、色々研究、試行し、復活することができました。また下の御着物は紅で染め、そのために山形産の紅花を購入し染色を行いました。
大正天皇御即位式の記録も残っていたため、御料織物は髙田家・東京織工場にて全てが製織され、調進することができました。
髙田義男は宮内省より京都御所紫宸殿に奉任するよう言いつかって、御即位式当日に参殿いたしました。
|
香淳皇后御料 昭和度御即位式御五衣・御唐衣・御裳 御唐衣地
昭和三年、髙田義男調進 (文様意匠権 髙田装束研究所) |
上記映像、文様の転載、流用、2次使用を固く禁じます。許可なく、上記文様、および御装束を使用することはご遠慮下さい。